今日も、田辺市へやってきました。何の目的もありませんでしたが、ふらっと特急くろしおに乗り込みました。紀伊田辺駅に着いて、改札を出た途端 冷たい風が強く吹いていました。これは、街歩きをするにはきついなと思いつつも、せっかくきたのだからと歩き始めました。
でも、やっぱり風は冷たく、顔や耳が段々痛くなり、歩いているのもつらくなってきました。
お腹はそれほど空いていませんでしたが、外は寒すぎるので、暖かく過ごせる場所を探しました。
ふと、目についたランチメニューにエビフライが二本ついて、千円のカレーというのが書かれており、そのカレーはあのアラジンと魔法のランプに出てくるような入れ物に入っていました。正式な名前はグレイビーボートと言うそうです。
カレーは、甘口で幾種類ものスパイスが使われているようで、美味しくすっかり完食してしまいました。
店主の方にお聞きしたところ、お店は、約50年、別の方が喫茶店をされ、その後、昨年から始められたとのことでした。
店内は、真空管アンプやブロック崩しのゲーム台が置かれ、レトロ感満載でした。
ご主人は、映画がお好きで店内の壁に多くの映画のポスターが貼られていました。
最近は、外国のお客さんが来られるようにはなったけれど、近隣のお店がたたまれ、シャッターを降ろしたお店が増えてきたとのことでした。確かに歩いていると、ぽつんぽつんと閉めている店が見受けられました。しばらく話をしてあまり長居するのもなんなので、お店の方に挨拶をして、もう少し歩いてみることにしました。切荘百貨店の跡地前にある辻の餅さんが見えてきたので、せっかくなのでお餅を購入するとお店の方が暖かいお茶を入れて下さいました。
暖かいお心遣いに感謝しながら、店内でお餅を頂いていると、別のお客さんが入ってこられ、話し始められました。目の前で話しをされているので、聞くつもりはなくとも耳に入ってきました。お店のボイラーの修理の事など話され、帰って行かれました。僕もお餅を頂き、お礼を言って帰ろうとした際に、先程のボイラーの話しになり、今は部品がなく、修理もままならず、また昨今の物価高について、お店の努力は並大抵のことではないことも教えて頂きました
お店は天保の時代からされており、なんとか続けて頂きたいと願いつつも、商売の道具がなかったり、あまりに急激な物価高では、事業の継続が困難なことも理解できました。これまで、地方の商店街の問題は後継者不足などが言われてきましたが、ここ数年では、原料の価格や設備の更新費用も見過ごせない問題であると認識できました。。
人口減や少子化が長期的な問題としてあり、それに加えて、後継者問題、そして価格や費用の問題が幾層にも積まれ、地方都市の個人商店では、とても解決しづらい問題であることが身に染みて伝わってきました。
限界集落という言葉は、決して山奥の話ではなく、ごく身近な生まれ育った街にひたひたと迫ってきている問題であることが分かりました。
寒い空を見上げながらやるせない気持ちになりました。
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