スピンオフとは、企業内の一部門を切り離し、独立させることを意味し、独立後も資本関係を保つことを表す用語とのことです。
私は、これまで大学で街の活性化について学んできました。とくに商店街と百貨店の賑わいと衰退の原因について考えてきました。
様々な方が、これまで商店街や百貨店の衰退について述べてこられていらっしゃいます。
論文や著書を拝見するたびに、すごいとしか言いようのない気持ちになります。まさに巨人の肩に乗せて頂く状態です。
しかし、この2019年12月を境にして、商業施設のみならず、社会は変革してしまいました。
百貨店も、2020年4月には、対前年売上マイナス72.8% インバウンドに至ってはマイナス99.5%と信じられない事態に陥ってしまいました。
しかしながら、外出自粛の中でも、ある部門はコロナに負けてはいませんでした。
E-commerce部門です。
各社のE-commerce部門の売上は、いわゆる衣料、宝飾、食品などの本流と比較すると、まだまだ小さいですが、将来はメインストリームになっていくと予想されます。
今でこそ、ほとんどの企業は自社のHPを持っていますが、インターネットが普及するまでは、見かけることはほぼありませんでした。
今後、E-commerce上でメタバースが普及していくと、リアルとサイバーの二面展開が当たり前の世界になっていくと思われます。
リアルな実店舗のみに固執すると、コロナなどの感染症対策のみならず、新しい社会に順応できなくなる可能性が大いにあると考えられます。
そのためにも、会社のあり方そのものも、変えていく必要があると考えます。
企業のデジタル化は、現在の黒船だと考えています。
これまで、PCの導入や企業のHPなどデジタルの周辺利用は行われてきましたが、今後は会社そのものがデジタル化されていくことが予想されます。
つまり、リアルな人の手を介して行うことが出来るだけ回避されていくということです。
こういう事態になると、反発することが多いに予想されます。店頭で、顧客に接客してきた人たちの職を奪うことになるからです。
しかし、リアルな接客を好む顧客ばかりではありません。匿名性の高いアバターとなって買い物を行うことを好む顧客もいるかと思います。
商業施設、とくに百貨店はただ商品やサービスのみ提供していては、この先はないと私は考えます。
これまでの百貨店の繁栄は、ワクワクや感動を提供することで成り立ってきた面があります。
百貨店を劇場とみなし、いかにお客様に感動体験を提供できるかがこれからの百貨店に求められるし、百貨店の使命だと考えます。
百貨店へ行くという行為は、おめかしをして、いつもの自分をより輝ける特別なイベントでした。
しかし、リアルな世界では、身長や体重、ベースとなる顔は変える事ができません。
一方、サイバー空間ではアバターとなって違う自分に変身することが可能となります。
つまり、サイバー空間という劇場で女優や俳優のような体験ができるという事です。
そんな事の何が楽しいのかと思われるかもしれません。
百貨店が閉店や撤退するというニュースの中で、小さい頃は、家族や友達と一緒に訪れて楽しかったという声が多く聞かれます。
もちろん、欲しかった商品を手に入れることができた楽しみもあると思いますが、今も心に残っているのは、過ごした思い出や体験でした。
これまでは、百貨店はモノやサービスの購入を通じてワクワクや感動体験を提供し得てきました。
これからは、購入は二の次でいかに百貨店という劇場でワクワクや感動を提供できるかにかかってくるかと思います。
そのための手段や方法として、ITやメタバースなどがより必要となる時代が来るでしょうし、気がついたらもうすでに来ていたということにもなりかねません。
百貨店の祖業の呉服店が、大政奉還で武士という顧客が喪失し、衰退産業とみなされた時代があります。
現に、三越の前身の三井呉服店は、三井家本流から外され、三井の名前も使えなくなりました。
ですが、三越と名乗り、デパートメント型組織を導入し、ショーケース販売や現金売りと言った当時の商慣習からすれば、何て事をするんだと思われながらも、時代に合わせた店作りを行なってきました。
本流か本流ではないということは、瑣末なことで、大事な事は時代に沿った店作りであることをかつての三越は物語っています。
今は激動の時代であり、変革の時期なのです。これまでの社会にさよならをし、新しい社会に適用できた者が生き残っていくのでしょう。
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