今回は、和歌山県湯浅町のワイナリーを訪ねてきました。
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こちらのワイナリーは、有田市に本社がある株式会社TOAさんにより運営されています。
株式会社TOAさんは、ENEOS株式会社の関連会社として長年石油精製事業に携わってこられました。
和歌山県民にとっては、東燃さんと言った呼び名の方が、しっくりくるかもしれません。
その東燃さんも、2023年電撃的に石油精製事業を停止するとの発表がなされました。
有田市や和歌山県にとって、事業の停止は経済的、社会的にも大きな影響をもたらすことになり、当時の和歌山県の仁坂知事が、東京のENEOS本社へ出向き、なんとか航空燃料の製造を続けることで、部分的ではありますが、事業の継続がなされることとなりました。
しかし、航空燃料の製造だけでは、十分な雇用を賄うことは難しく、新たな代替事業が必要とされていました。
そうした中、当時の社長の決断により、ワインの製造に立ち向かうことになります。
これまで石油エンジニアリングに携わってこられた方が、ワインの製造と葡萄の栽培を手がけるなんて、全く想像が出来ませんでした。
しかし、親会社のENEOSは、すでに和歌山での石油精製事業は行わないと決定したため、後戻りは出来ません。
株式会社TOAさんは、ワインに携わるだけでなく、飲食事業にも進出し、JR和歌山駅から徒歩5分ほどのところのある美園商店街内にても、ミソノバルというスペイン料理のお店も開店させました。
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この美園商店街も、衰退が進み 駅から徒歩圏内にも関わらず、閑散としていることが多く、いわゆるシャッター化している商店街として認識されています。
そんな商店街にもかかわらず、TOAさんはバルを出店させました。
何度か、ミソノバルに通っている内に、なぜこのお店を廃れた商店街に出店させたのかをお店の方からお伺いする事が出来ました。
今は、賑わいが今ひとつの商店街でもこのお店を出店する事で、商店街が賑わいを持てればとの思いでされたとのことでした。
確かに、お店で食事を頂いているとそのお料理を通じてこの場所で、なんとかやっていくという気概を感じる時があります。
ワイン事業にしても、飲食事業にしても絶対的に安定しているわけではなく、その不安定さを楽しむ気持ちや度量が無いとやっていけないのかもしれません。
ワインの製造工場をガラス越しに見学させて頂きましたが、埃や害虫などを入れさせない近代的な設備の中で、行われているのが良く分かりました。
こちらのワイナリーでは、予約をして頂ければ見学や試飲が可能になるそうです。時期や場合によっては、出来ないことがあるかもしれないので、事前に確認した方が良いでしょう。
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