地方都市の百貨店のあり方

百貨店協会の発表によると2024年12月度の売り上げはコロナ以前の2019年同月度を超えたとのことでした。

コロナが5類になってから、経済は少しずつ回復基調となり、円安効果も後押しとなりインバウンド売上が総計477億円となり、全体の7.4%を占めるまでになったとのことです。

https://www.depart.or.jp/store_sale/files/202312zenkokupp.pdf

また、国内では富裕層向けの外商も有力な顧客であり、

WWDJAPANの記事によれば、三越伊勢丹伊勢丹本店と日本橋本店の外商売り上げはコロナ前を超えて860億円に達する見込みとのことです。

存在感増す百貨店の「外商」 若い富裕層を呼び込む - WWDJAPAN
物価上昇によってマスマーケットの回復は鈍く、中華圏のインバウンド(訪日客)も戻らない中、右肩上がりで成長する「外商」の存在感が増している。百貨店各社は若い世代の富裕層の支持を得るため、組織、売り場、デジタルなどの改革に乗り出す。古いビジネス...

2025年2月14日 閲覧

しかし、これらはインバウンドや富裕層が住む大都市の百貨店に限定された話で、

そもそも、インバウンドが来ない地域や富裕層が絶対的に少ない地方都市においては、夢物語のような話です。

現に、地方都市の百貨店は毎年のように閉店していき、全国で百貨店の無い県は4県(山形、徳島、島根、岐阜(2024年7月予定)となってしまいました。

インバウンドや富裕層による売り上げ効果が小さい地方都市の百貨店はこれからどうあるべきなのか?

同じ百貨店の名をつけてはいますが、都市と同じビジネスが成り立たない以上、ビジネスのやり方を変える必要が考えられます。

しかし、地方の百貨店は、都会ほど競争の激しい地域で切磋琢磨して営業してきたわけではなく、どちらかと言えば、ビジネスのやり方を変えないことが地方都市の顧客には安心感を持たれてきたように思えます。

特に、三越、高島屋、大丸などの看板を掲げた地方都市の百貨店ほど、変化を拒んできたように感じます。

一方で、地元資本の百貨店ほど危機感を持ち、生き残りに懸命であるように思います。

山梨県にある180年続く百貨店「岡島」は、こうした状況の中、店舗を縮小移転する道を選びました。

また、ただ単に縮小移転しただけでなく、若者がいるファッションビルへの移転を行いました。

“縮小移転”地方百貨店の生き残り|おはBiz|おはよう日本|NHK
デパートの閉店が相次ぐ中、山梨県唯一の百貨店「岡島」が、店舗を縮小移転してオープン。固定費を減らし品ぞろえを絞り、地元有名店などテーマを変えて週替わりフェアを開催する新エリアを展開。新時代の百貨店のビジネスモデルとなるか?

2024年2月14日閲覧

この施策は餌が少なくなれば、個体を大きなものから小さいものへと変化させ、その上で餌が多いところへ移動した中生代の恐竜を彷彿とさせます。

何もせず、今のままのやり方を続けていけば、いつか終焉を迎える日がやってくる。

それが嫌ならば、変わらざるをえない。

岡島百貨店はそう考えることができたことで、縮小移転の道を選んだのでしょう。

売上の縮小は企業にとっては、したくない事の一つでしょう。

利益は下がり、リストラもやむを得ない状況が出てくるかもしれません。

売上が下がることで、モチベーションやプライドも小さくなるかもしれません。

それでも、岡島百貨店は自身の道を探り、進みました。

同じ事を他の地方都市の百貨店には採用できないかもしれません。

しかし、このままでは経営が成り立たなくなることは自明です。

各百貨店のが変化にどう対応していくのか。

もうそれほど時間は残されてはいません。

出来れば、閉店の道を取らず、何とか続けて頂きたいものです。

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