渋谷の東急百貨店本館、東横店閉館、西武百貨店の売却、そして小田急百貨店の縮小移転と百貨店はもう必要とされない感が強まってきました。
上記に揚げた百貨店は鉄道会社が主に経営を担ってきた経緯があり、今回の経営判断も鉄道会社の意向が強く働いた様子が見て取れます。
各鉄道会社は、今後の人口減退に向けて鉄道乗客売上減少を見込み、駅ナカビジネスへ邁進しています。
かつて、小林一三が行なった駅に隣接した百貨店を作ることで、鉄道乗降客数を増加させようとするビジネスモデルは、現在の鉄道会社は採用しないという事なのでしょう。
どのような経営戦略を採用するのかは、各社様々で、時代にあったビジネスを行うのは当然のことです。
しかし、ビジネスの根幹はやはりいかに人を集めることが出来るかであると考えます。
今回ご紹介する書籍は、著者の国分裕正さんは、町の魅力はどの町にもあり、その魅力に気づくことが、永続的に町を守っていく事につながるとおっしゃっています。
そして、一旦町を破壊してしまったら、取り返しがつかなくなり、その町の文化や歴史が失われてしまう事を危惧されています。
町には、ある程度イメージがついてまわります。例えば、富山へ行くのならば、日本海の幸や雪景色、同じ北陸の金沢よりは、少しいい意味でひなびた感じを持つイメージ。
長野ならば、高原の清々しい空気や、美味しいワインを楽しめそうなど。
以上は私の勝手なイメージですが、人それぞれに各町のイメージをお持ちかと思われます。
著者の国分さんは、地方の町が小東京化されていることも危惧されています。
必ずしも、東京資本の企業が各地方の町に進出することは悪いと言っているわけではなく、
元々あった、その土地のお店が淘汰されてしまう事で、その町の文化や歴史が寸断されてしまう事を危惧なさっています。
私の住んでいる和歌山市もよく、他県から来られた方には、和歌山市には何もないとよく言われてきました。
しかしながら、今回ある方から、ホテルの窓から外の景色が見えるのはいいねとおっしゃって下さいました。
私たちは、客室の窓から外の景色が見えるのは、ごく普通の事で、そこに驚いたり、良い面を感じたりすることはほとんどないです。
でも、都心では、だいたい窓の向こうはビルの壁になっていることが多く、見えたとしても、ごく一部です。
客室からの風景だけでなく、町の空気感やそこに住んでいる人たちの言葉や話し方もその町のバリューなのだと、理解できるようになりました。
今回、撤退した百貨店や大型スーパーは多くの方が訪れた場所です、その分、思い出も訪れた人の数だけあるでしょう。
その百貨店やスーパーがいとも簡単に、なくなってしまう。運営会社は、店舗を閉鎖することで、町の思い出も遮断することの責任を背負って頂きたいと思います。
そして、また新たに、人が思い出をつくることが出来る場所を創造することが、これからの企業には求められると私は考えます。
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