商店街など町の中心市街街と呼ばれる地域を歩いていると、様々な店舗とともに、百貨店を見かけることがあります。
大阪府内では、高島屋の店舗は三店舗あり、売上高が大きい順に南海難波駅に隣接している年商1319億円の大阪店、泉北高速鉄道 泉ヶ丘駅に隣接している152億円の泉北店、そして南海高野線 堺東駅に隣接している105億円の堺店があります。
各店舗の周辺には、大小の商店街があり難波店周辺には戎橋筋商店街をはじめ千日前道具屋筋商店街、泉北店では泉ヶ丘ひろば専門店街、堺店では堺東商店街などがあります。
この中で泉北店は、大阪府の泉北丘陵の開発に伴って泉北ニュータウン内の複合施設であるPanjo内に1974年に設立されました。
高島屋泉北店は、南海難波駅から電車で約30分の距離にあり、Panjoの核テナントの役目も担っています。
Panjo内には、泉ヶ丘ひろば専門店街という地元のミートショップからスターバックスまで揃った店舗があり、お客さんが買い物をされていました。
ミートショップアサダのコロッケ
高島屋泉北店は、大阪府の泉北丘陵住宅地区開発事業である泉北ニュータウンの造成に伴って、複合施設のPanjo内に核テナントとして1974年に開業しました。
ニュータウン内には、商業施設に加えて帝塚山学院大学などの教育機関なども立地しており、ピーク時には16万人を超えた年もありました。
高島屋泉北店は、ニュータウンに住居を持つ住民にとって、日常の生活品からハレの日などに使われる特別な品などを提供し、また周辺の専門店街とともに集客に努めてきました。
萩国際大学の皆川重男先生は、2002年に書かれた論文で百貨店の消費者吸引力は路線型商店街と比較して1.6倍強いことを示されています。
つまり、百貨店が消費者を多く引きつけ、その後、周辺の商店街へと足を向かうという循環が、百貨店を含む中心市街地の賑わいを創出することが可能でした。
このことは、私が経験した地元の百貨店と商店街の利用行動に合致しています。
この賑わい創出のプロセス自体は、現在でも有効であるとされ、神戸市の大丸百貨店神戸店と元町商店街や大阪市の大丸百貨店心斎橋店と心斎橋商店街などの賑わいを見ても納得することができます。
百貨店の中には、ジェイアール名古屋タカシマヤや阪急百貨店うめだ本店など鉄道駅構内に店舗を構えているところもあり、駅利用客の二次的利用を主に、近隣、遠方からの集客に努めています。
今回、訪れた高島屋は大阪市近郊の郊外都市に設立された中規模の百貨店です。
ニュータウンの建設とともに、建設されたため、約50年が経過しています。
利用顧客は、比較的高齢者が多く、若い人の利用は少ないように感じられました。
約30分ほどで、南海難波駅へアクセスできるので、若い方はそちらへ行く方が多いのでしょう。
同じ系列の百貨店でも、都心や都会にある店舗とそうではない店舗では、顧客層も異なり、同じ営業方針を取れないことが容易に見て取れます。
売上高が100-300億円ほどのいわゆる小中規模の店舗は、地元の住民を対象にした地域密着型の戦略を取らざるを得ないと考えられます。良い面としては、店員さんと顧客の親密度合いが高い店舗になりやすい傾向があります。
高齢者にとっては、電車で30分かけて大型店舗に行くよりも、近隣の馴染みのある店舗で、自分のことを知っている店員さんと会話しながら買い物をする方が安心できるのでしょう。
泉北店を初めとする郊外型中小規模の百貨店店舗は、顧客の高齢化に対応した戦略が必要となってきます。
これから、わたしも高齢者になっていくので、百貨店の戦略にも注目していきたいと思います。
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