あるきっかけで山田桂一郎さんの書籍を読む機会を得ることができました。
この書籍は藻谷浩介さんとの共著でタイトルは「観光立国の正体」といいます。この書籍の中で、山田さんはあるクルーズ船運行会社がある町に2万円のランチの提供が可能かどうかの打診した際に、その町がそのオファを断った事例を紹介していました。その町がオファを断った理由として自分たちでは2万円に見合った料理を提供できないからというものでした。この話を聞いて山田さんはみすみすの機会を棒に振ってしまったと述べられています。確かにオファを受けた側としては、自分の能力以上の事柄を安易に受けてしまうことで結局お客さまに迷惑をかけてしまい、自分たちにもその責任を負うことにもつながりかねない。そういったことは理解できます。でもここで重要なことは、山田さんは2万円の価格の料理を提供することではなく、2万円の価値をもつ料理の提供を出すことは可能であったのではとも述べられていました。地元の人にとっては何でもないことが、他の地域からわざわざ訪れた人にとっては魅力のあるものになる可能性を秘めているかもしれません。また遠くの地域から訪れる旅行者ほど消費意欲が高くなる傾向があるとも述べていました。仮に、この町の人たちが2万円の料理を提供できる自信がなくても、1万円の料理なら提供できたかもしれません。その1万円の料理が、訪れた人にとっては2万円やそれ以上の価値を持つ料理になったかもしれなかったのです。このくだりを読んでいて、以前に、いつもご指導頂いている先生から、修士論文をまとめた後に、本にしてみましょうというご提案を頂きました。その時はとても自分には本を書くことなど無理だと思い、お返事を差し上げられなかったのですが、この2万円のランチの話を読んで、あのとき本を出版するオファは受けるべきだったのだと思いました。それは、たとえ今も本を出版する自信や能力がなかったとしても、こうやってブログには断片的であったとしても書くことができているからです。能力以上のことを引き受けて失敗し、周囲に迷惑をかけてしまうかもしれません。そしておおいに悔やむことになるのかもしれません。しかし大事なことはトライしてみることである。結果は受け手であるお客さまが決めてくれる。山田さんはそうこの書籍で伝えたかったのではないかと思いました。
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