百貨店の歴史

社会人大学

注文していた「百貨店の歴史 年表で見る夢と憧れの建築」が届きました。

これは、現在 東京の高島屋史料館で展示されている百貨店各社の歴史を冊子にまとめたものです。

「さらに装飾をひもとくー日本橋の建築・再発見」展@高島屋史料館TOKYO
今回の企画展は、「装飾をひもとく〜日本橋の建築・再発見」展(監修:五十嵐太郎, 2020年9月〜2021年2月開催)の続編として開催するものです。

東京での展示展にはなかなか訪れることができないので、まずは冊子を取り寄せて見ました。

主に1890年代から始まる百貨店各社の歴史を、日本の政治とともに記載されています。

百貨店は三越、高島屋など呉服店を祖とするものと阪急、東急など電鉄会社の一部門を発祥とするものに大別できます。

呉服店から百貨店へと変貌を遂げた1900年〜1920年頃は、日本は日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦と大きな戦乱の最中でした。

そうした中で、1898年高島屋が心斎橋に開店後、白木屋(現在の東急百貨店本店)、が1903年に新築完成、そごうが1903年に心斎橋店、大丸が心斎橋に1913年に新館開店、三越日本橋本店が1914年に新築完成と新館建設、改装のラッシュとなっています。

その後の1923年の関東大震災で関東エリアの百貨店は壊滅状態となり、1929年のウオール街の株価暴落により、1930年代の日本経済は大きく影響を受け、いわゆる昭和恐慌へと突入していきます。

しかしながら、1926年大阪上本町、三笠屋百貨店開店(1935年営業終了)、1928年には白木屋が東京日本橋に新店舗完成、高島屋が大阪長堀店完成、1929年には、阪急がうめだに本店を開店と百貨店各社は新館建設、増築を行なっていきます。

1930年代に入っても、1930年に高島屋が南海店開店、1931年に松屋が浅草に開店、1933年に伊勢丹新宿店開店、そごう心斎橋店開店、1934年東横百貨店(現在の東急百貨店東横店)開店と不況と呼ばれる時代に積極投資を行っています。

この頃は、百貨店の総数もうなぎのぼりとなっています。

関東大震災と昭和恐慌というダブルパンチの中、なぜ百貨店各社が出店や増改築を行ったのか?

一転して2000年以降は2000年にそごうが民事再生法申請、2001年にはセゾングループ解体、2007年、大丸と松坂屋が経営統合、同年阪急百貨店と阪神百貨店が経営統合、そして2008年には三越と伊勢丹が経営統合しなければならない状況となります。

2010年以降は松坂屋銀座店がGINZA SIXへの転換、2014年の近鉄百貨店あべのハルカス完成、2010年阪急うめだ本店建替え、2022年の阪神百貨店梅田本店建て替えと、比較的明るい話題が続いていきます。

百貨店各社の歴史を振り返ると、震災や経済不況に直面してもそれをバネに乗り越えようとした気概があり、現に乗り越えてきました。

逆に高度成長期やバブル期には、確かに売上は大きく増大しましたが、百貨店内の構造的問題は解決されることはなく、目を向けることもはばかれる状態であったとも言えます。

現在、コロナウイルス感染症対策により、百貨店の売上は大きく減退しました。しかし、百貨店の持つファイティングスピリットが未だ存在しているのなら、1930年代の百貨店のように復活できるのではないかと期待します。

百貨店とは何かと問われた際、不屈の精神を持った有機体であると自信を持って答えることができるよう、百貨店各社には頑張って頂きたいと願っています。

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